博物館学

レプリカやジオラマのことを考えるために、博物館学のことを検索していたら、「常磐大学 博物館学博物館」というサイトに出会った。実際に、そういう博物館があって、以下のような展示をしているそうだ。


1.個体展示 〜特別資料展示コーナー〜
2.ジオラマ 〜ウミウと鵜飼い〜
3.複合展示 〜常磐学園の四季と植物しらべ〜
4.分類展示 〜貝・鉱物〜
5.生態展示 〜海にかえた哺乳類 クジラ目〜
6.比較展示 〜民俗の遺産を継承する凧〜
7.参加・体験展示 〜感覚の不思議・コミュニケーションボックス〜
8.歴史展示 〜小学校国語教科書の移り変わり〜


これを見ていると、いろいろなことを考えてしまった。

博物館学というものは、資料をどのように展示するのか(How)が、重要な課題らしい。展示するべき「もの(What)」やテーマがあって、それをいかに提示するかということなのだろう。ただ単に資料や標本を並べておくだけでなく、いかに並べるか、いかに説明するか、いかにテーマやシナリオを作るかということで、展示技術の発展や蓄積があったのだろう。

だから、これこそ新しい展示のやり方だとか、レプリカやジオラマなどの精巧さを誇りたいのは、わからないでもない。博物館の学芸員にも、そのような展示のセンスが求められるのだろう。しかし、元になる標本や資料に対する知識や研究のバックグランドがなくて、そのような説明のやり方が斬新であっても、中味が空っぽということになりかねないだろう。また、新しいやり方が、どんな場合にでも優れているわけでもないだろう。

学芸員の役割はいろいろあるだろうが、研究者であるべきなのは、その展示物に対する深い理解が必要だからだろう。既に定まった評価や成果の引き写しではなく、資料から新たな知見を引き出したり、またなにを展示するか、どのように配列するか、どのようなストーリにするかなどでも、専門の知識が必要となるだろう。

また、新しいやり方が古いやり方にとって代わるものではないことも強調したい。生物の標本などを分類群別に並べることは、古いやり方だと思われている。歴史的資料についても、歴史的な順番で羅列することなどもそうだろうか。おそらく、ただ並べるだけでは、工夫も芸もないということになるのだろう。むしろ、特定のテーマやトピックで展示するべきとなるのだろう。しかし、単なる配列からでも、多様性や、進化の系列や、時代的な変遷などが、読み取れるかもしれない。要は、なにを意図し、どのように説明するかだろう。

このホームページで、レプリカやニセモノを批判してきたのは、そのような展示の技術論がだけが前に出て、元の標本や資料のことを考えることがおろそかになっているのではないか、ということだった。