♂♀記号に対する疑問点

♂♀の記号が、マルス(軍神で♂は火星も意味する)の盾と矛、ビーナス(美神で♀は金星も意味する)の手と鏡であり、アイコンではなくてシンボルであるという金川さんの文章を読んだときは、感動のあまり、周りの人に話してまわったものだが、そのうちにいろいろ疑問に思うことも出てきた。

一番の疑問は、リンネが雄と雌を示すのに、なぜマルスとビーナスにちなんだ記号を選んだかである。これは、リンネの原典に当たれば解決がつくことなのだろうが、最初はどの本に書いているのかもわからなかった。ネットで検索してみると、どうやら1737年に出版された『植物の属』(Genera Plantarum)に載っているらしい。

それで、どこかのアーカイブスでリンネの本がオンラインで読めないかと探したのだが、今のところ見つかっていない。たぶんラテン語で書かれているのだろうから、見たとしても、まともには読み取れないのだが…。どなたか、サイトをご存知の方があればご教示ください。

また、別の疑問として、雌雄同体を示す hermaphroditism は、ヘルメスとアフロディテから来ていることを述べたが、ギリシア神話ローマ神話の神様の対応からすると、ヘルメスはマーキュリー(水星)で、アフロディテはヴィーナスとなる。このようなことからすると、なぜリンネが、マーキュリーでなくマルスを選んだのかも、よくわからない。

マルスやビーナスの記号というのは、占星術とも関係があるらしい。そんなことを学ぼうと永田久の「暦と占いの科学 (新潮選書)」 という本を買ったりしたが、最近では、インターネットでもこのような情報は簡単に見られる。例えば、Wikipediaの西洋占星術の項目中の「古典的な惑星」のところに、各惑星の意味や記号も載っている。

このうち、水星の記号は、雌雄同体の記号としても使うようだが、これもリンネが使ったのだろうか?


以上のような訳で、西洋文化に対してあまりにも知らないことが多すぎるのだが、そのようなことが雄や雌の認識の背景にあるのだと思って、今後も勉強していきたい。