イヌビワ

イヌビワの木は、我が家に1本だけ生えている。駐車スペースのところが、岩組みになっていて、その隙間から生えて来ている。私たちが住み始めた2007年頃は、小さな芽生えだったのが、今年は実をつけているのが目立つようになった。おそらく、私たちが住む前ならば、雑木としてすぐに切られてしまったところだったのが、ここまで残ったことになる。





前に取り上げたアカメガシワと同様に、この木も大してありがたみを感じないものなので、いつ切っても惜しくはないのだが、写真に撮って、改めて調べてみると、これまた面白いことがいろいろあるらしい。

いつもの植物雑学事典によれば、雌雄異株であるらしい。アカメガシワと同じように、いかにも鳥に食べられそうな実をつけるのだから、鳥による分散ということで、雌雄異株になるのだろう。さらに、そのことに加えて、イヌビワコバチ類が受粉に関わっているらしい。これについても、調べてみると、なかなか複雑だけれど、驚くようなことをやっているらしい。

このサイトによれば、雄株には雄花と雌花が付くのだが、こちらはイチジクコバチの培養器のようなもので、そこで育った雌が出て行く時に花粉を運ぶのだという。しかも、雌株の雌花に入った雌は、胚珠にまで到達するように産卵できず、結果として、雌花の果実にはイチジクコバチは増えられないらしい。


上に掲げた写真からすると、イチジクコバチは写っていないようだし、種子も大きくなっているようだから、我が家の株はどうやら雌株らしい。

おそらく、雄株や雌株でいつごろ花をつけて、その花の中で、ハチの性比がどのようになっているのかなど、まさしく繁殖生態学のトピックが満載のように思える。ところが、この話をどこかの研究者から聞いたとしても、フーンそんなものかと思って、おそらく興味を持たなかっただろう。自分の家の株を接点にするからこそ、このような複雑な話も理解してみようかという気になるのだろう。


ということで、我が家のイヌビワについても、当分の間は切り倒さずに、観察を続けることになりそうだ。