天鳥の褶曲

この場所は、このところ書いている「ジオサイト見学会」で訪れた場所ではないのだが、このあたりでは、第一級のジオサイトらしい。和歌山県レッドデータブックの「地形・地質 」(PDF)では、Aランク(国際的に貴重なもの)となっている。ジオサイト見学会でも、道が悪くて、多数の人間が安全に降りれないということで、見学場所に含められなかったらしいのだが、いかにも残念!ということで、その降り口の場所を熱心に説明していた。たまたま以前に訪れたことがあったので、そのときの写真を掲げる




私が訪れたのは、写真の日付によれば、2005年の3月だったようだ。そのときには、国道沿いの降り口のところに看板が立っていたのだが、その後撤去された。一人で行ったので、釣人が通っているらしい山道を不安気に降りて行くと、写真で見ていた光景に行き着いた。




そのときには、「おお、これがそうか」という思いで、雄大な風景として、眺めたものと思う。少し夕方になりかかっていて、付近をウロウロするのは自重したので、あまり周囲の細かな記憶はない。

このところの地学の勉強をやり直していて、この場所を解説した文章などを読んでいると、以前に見たときには、ただ単に見たというだけで、いかにわずかのことしか理解していなかったかと思えてくる。どのように地層が褶曲していて、地層の上下がどうなっているのかなど、よく確認しなかった。周囲には、この写真以外にも褶曲があるらしい。また、海蝕洞がどうなっているのかも、よく見ていない。このような波当たりの強い場所で、どのような海岸生物が生物がいるのかも、よく見ていない。改めて、機会をつくって、行ってみたいと思っている。


この褶曲は、まさに見るだけでインパクトのあるものなのだろう。だから、ここがAランクで、前回取り上げた江須崎がDランクだという訳でもないのだろうが、そういう地点毎の評価には、少し違和感を感じる。外国の教科書にも載って、国際的にも知られているらしいが、なぜそのように取り扱われるのかを考えてみれば、プレートの付加体としての牟婁層群の形成過程が、この地点で端的に示されているからだろう。この褶曲をより深く理解するためには、牟婁層群全体、紀伊半島南部の理解が必要になってくる。ジオパーク指定を受けるためのいろいろな活動が、そのような知識の蓄積や普及に貢献することを期待している。