紅甘夏
この〈紅甘夏〉は、妻が海南市の産直の店で買って来たものだが、最初〈紅八朔〉と混同していて、新しい品種だと思わなかった。3個入って150円だった。皮が傷ついていたりするから、規格からハネられたものなのだろう。
(2013/04/29 撮影)
一個目は、写真も撮らずに食べてしまった後で、そういえば、八朔独特の苦味ではないと思えて、改めて確認をしてみると、紅甘夏と紅八朔は、別物ということに気がついた。紅八朔と同様に、甘夏よりもさらに色が濃くて、甘味が強くなっているように思える。
この品種については、公的な機関の説明を見つけることが出来なかったのだが、「キトロロギストXの記録」のブログで、以下のように説明されている。
紅甘夏は、熊本県有明町吉田恭一さんの園地で、1965年(昭和40年)に、甘夏の果皮が紅色に突然変異したナツダイダイの一品種です。甘夏は、大分県津久見市川野豊さんの園地で、1950年(昭和25年)に、ナツダイダイの枝変わりした、酸味の少ない品種として発見されていますので、紅甘夏は15年後に突然変異して生まれたことになります。ナツダイダイから甘夏へ、さらに紅甘夏へと、逐次突然変異する過程は、栄養繁殖でクローン永代しているカンキツでは、よく見かけられます。
クローンであるということは、遺伝的には変化していないが、細胞質に変異が生じているということなのだろうか。また、このサイトでは、普通の夏みかん、甘夏、紅甘夏の3つの写真が並べてあって、色が段階的に濃くなって行くのがよくわかる。
このような写真を見ると、前に〈夏みかん〉として取り上げたものは、どうやら甘夏らしい。本来の夏みかんは、もうひと回り大きくて、外皮の色が薄くて、皮も分厚いもののようだ。本来の夏みかんが出てくれば、また別記事で取り上げたい。
さらに、そのサイトで、夏みかんの収穫量の変遷のグラフが載っていて、年々収穫量が減って行っているのがよくわかる。「紅甘夏は今日のナツダイダイのエース品種」ということなのだが、全体の量が減っている中では、夏みかん自体の人気を挽回するのは、なかなか難しいようだ。私は、夏みかんの酸っぱさが好きなので、どのような品種であれ、今後も毎年食べ続けて行きたい。
生産者のサイトを見ていると、冬の間に収穫して熟成させる場合と、木の上で完熟させるやり方があるようだ。後者の方が、美味しくなるらしいが、木には負担がかかるらしい。今回買ったものは、傷がついていたり規格外で、樹上に残っていたものなのだろうか。