カラスノエンドウ、カスマグサ
春にはマメ科が多いようだ。畑でもサヤエンドウなどを作っていたのだが、それも盛りを過ぎたようだ。庭に生えている野草の豆も、そろそろ他の草に場所を譲るところのようで、忘れないうちに取り上げておきたい。
カラスノエンドウという種類は、子供の時代から馴染みの種類だった。笛を作って遊んだりもした。そんなことを思っていたら、いつもの「植物雑学事典」によれば、名前が、「学術的にはヤハズエンドウに統一されている」らしい。和名に混乱があったということだが、どのような混乱だったのか? ネットで調べてもよくわからなかった。和名自体には、特に規則はないのだから、例えば同じ名前が違うものにつけられていたとしても、大した混乱はないだろうに、つまらない形式主義が適用されたのだとしたら、なんとも罪なことである。
学名は、Vicia angustifolia で、属名はソラマメの意味で、巻きひげをもつことからvincio 結ぶ との関連があるらしい。そして種小名は、狭い葉っぱという意味である。ヤハズエンドウのヤハズは、弓矢についている羽の部分のことらしいから、やはり葉っぱのことで、ヤハズエンドウと命名した植物学者は、そのような対応に満足しているのかも知れない。でも、そのために、下のカスマグサとの名前の対応が、なくなってしまっている。
カスマグサの方は、同定に自信がなかった。カラスノエンドウの小さいものが、スズメノエンドウだと覚えていたのだが、写真を調べてみると、カスマグサということだった。“かすま”という音は、誰もが不思議に聞こえるのだろう。それがカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間であることは、この草を取り上げているどのサイトにも書いてある。
学名は Vicia tetrasperma で、種小名は、4つ種子という意味なのだが、ネット上のさやの写真を眺めていても、必ずしもそうだと思えない。一度、実際に数えてみたい。
以上、名前談義で終わってしまいそうだが、どちらの種類も、我が家の庭では、最初芝生のところにだけ生えていた。抜くのは簡単だし、マメ科の植物だから、多少なりとも肥料になるのではないかと、抜いたものをいろいろな植え込みの周りに置いたのだろう。今や庭のあちこちに広がっている。特に土の質は選ばないようで、ほとんど肥料分のないような場所にも生えている。両種が競合するのかも知れないが、からまり合って生えているところもある。生えている面積は、カスマグサの方が多いようだ。
そう言えば、いろいろなサイトを見ていると、カラスノエンドウは食べられるらしい。若い芽や豆も食べられるとのことである。畑で育てていたサヤエンドウの新芽が“豆苗”として食べられるとのことで、今年初めて試してみたが、なかなか独特の風味がしてうまかったので、これもおいしいに違いない。機会があれば試してみたい。