太陽光発電について

昨年の秋、自宅の屋根に太陽電池を設置した。6年ほど前に、今の中古住宅に住み始めたときに、ほぼ南向きの大きな屋根があるので、太陽光発電にはピッタリと思えた。ところが、友人がいる住宅リフォーム会社に相談すると、なかなか元が取れないということで、あまり賛同してくれなかった。当時の試算では、オール電化にして、深夜電力を活用するようにしても、20年近くかかって元が取れるかどうかといったところだった。

オール電化にすることについては、原子力発電で余った夜間電力を利用するものであり、原発政策に加担するようで、あまり賛成する気持ちにはなれなかった。一方で、昼間のピーク時電力を減らすという点では、ささやかながらも、これ以上原発を増やさないことへの貢献になるのなら、太陽光発電も悪くはないと思ったりもした。

それで、太陽光発電の設置費用が値下がりすることに注目していたら、民主党菅首相の時代に、自然エネルギーから発電した電力を売電するに当たって、通常よりも高く買う制度が決まってしまった。この制度のヒドイところは、高く買うための差額を、一般利用者に上乗せして負担させるということだろう。いくら自然エネルギーの活用を促進する名目があるとしても、太陽光発電に投資した人間が、投資できない人間から、割増分の料金を巻き上げることにはかわりはない。こんな制度にはとても加担したくないと思った。

そうこうしている内に、東日本大震災が起こり、さらに原子力発電所の事故が起こってしまった。地震の直後には、計画停電などの騒ぎがあったりして、電力のことを見直す機会にもなった。原発に依存しない生活に、我が家が少しでも貢献できるならばとも思った。さらに、以前は薦めなかったリフォーム会社の友人からも、太陽光発電設備の設置の勧誘もあったので、一気に決断した。

設置したのが11月で、日照時間が一番短い時期から始まったが、日照時間が伸びるにつれて、順調に発電量も増えて来ている。単純に売電料金を積み上げて行くだけで、おそらく10年も経たずに元が取れるのではないかと見積もっている。

しかし問題なのは、売電料金を高くするために、上乗せされている分である。他の人の負担された分をとてもフトコロに入れる気にはなれない。42円で売電することになっているから、通常料金との差額は、10-15円くらいになりそうである。このような差額は、自分のお金ではないものとして、どこか公的な団体へ寄付したいと思っている。差し当たって、最低限の10円から始めるとすると、大雑把には、売電収入の4分の1の金額である。

そうすると、どうも10年では元が取れないみたいである。しかも、10年後に売電料金は見直されることになっているから、おそらくは上乗せ分はなくなって、通常料金ということになるだろう。元々、上乗せ分はないものと思っているので、そうなっても、その後の何年間で元が取れればいいかと計算している。またパワーコンディショナーの寿命が10年くらいだと聞いているので、そのときには設備の更新の費用も必要になる。

一方で、寄付をするということでは、見返りもあるらしい。公的な団体に寄付をすれば、確定申告のときに、税金が戻ってくるらしい。

以上のような見積もりで、最終的にどのような計算になるか、一年経ってみないと未だ不明なところがある。いずれにしても、太陽光発電で儲けようなどとは思っていないので、寄付に回す金額で調整して行きたいと思っている。


我が家の屋根に太陽電池が付いたのを見た人たちは、「どれくらい儲かるのか」という話になるようだ。「原発に依存しない生活のため」と説明したところで、「儲かって、いいなあ」という話になる。

まとまったお金があって、南向きの屋根があるという人は、あらゆる人に当てはまるわけではないだろう。太陽光発電の設備を設置できるのが限られた人たちで、そのための費用をあらゆる人が負担するというのでは、電気代が値上りして損をした人たちは、太陽電池に石をぶつけたい思うのではないだろうか。

さらに不公平なことは、家庭用は10年で買取費用を見直すことになっているが、企業の場合は20年間固定価格ということである。これもまた、泥棒みたいな話である。企業の場合には、日当たりの良いところに大規模に設置し、しかもすべて売電するのだから、10年以内で楽々元が取れる条件になっているに違いない。その元が取れたうえに、その後も上乗せ分を掠め取ろうというのだから、まっとうな企業の行為ではないだろう。そういえば、このところの大規模な太陽光発電の報道では、地域への貢献や災害時の非常電力の供給などを付け加えることが多くなったような気がする。あまりにもぼろ儲けをすることに、後ろめたさを感じるのだろうか。

今後、電気料金への上乗せ分が増えていけば、上乗せ分への不満が高まってくるだろう。もし企業倫理というものがあるのなら、20年間固定料金を受け取れるなどと思うべきではないだろう。元が取れたのならば、さっさと上乗せ分は辞退するべきだ。通常料金で売電をしても、利益は上がり続けるのだから。


太陽光発電に思っているところ、設置の体験談など、随時、書いて行きたい。