京都梅小路の水族館1

名古屋港のシャチのことを調べていたら、京都に水族館が計画されていることを知った。ウカツにも、多くの人が反対していたらしいのだが、こういう計画があること自体をまったく知らなかった。しかも、そういう反対の声があるにもかかわらず、既に工事にとりかかっていて、2012年の春に開館するところまで来ているらしい。

私がなにも知らなかったから、ものすごく唐突に感じたこともあるが、「なんで、京都に水族館?」というのは、多くの人が感じることなのだろう。関西人の感覚からすれば、京都の人は、塩サバか身欠きニシンか棒ダラぐらいしか、海の魚を知らんのではないか。あるいは、淡水魚ならば琵琶湖博物館に立派なものがあるではないか。それに、大阪には海遊館もあるのに、あえて内陸の京都に、どんな水族館をつくるのだろうと思ったら、イルカのショーをやるらしい。ペンギンやアシカ・アザラシも飼うらしい。

それで、いろいろ反対する人がいて、シンポジウムなども企画されたらしい。こういう議論をするところが、また京都らしいところで、普通の都市ならば、「ないよりはあった方がいい」で、議論にもならないだろう。

そして、この話を推進しているのが、オリックスらしい。これまた、いかにもオリックスらしいと思うのは、私だけの思いではないだろう。郵政民営化の払下げのときにも話題になったが、公共的な領域に巧みに食い込んでくる。推進する側からすれば、企画力があって、商売や運営も上手で、おそらく、梅小路蒸気機関車館などとセットにして、あの周辺を大々的に再開発しようということなのだろう。

実は、私は30年以上前にあの周辺に住んだことがある。まだ国鉄の時代に、梅小路貨物駅に叔父が勤めていて、すぐ近くの職員宿舎に居候になった。その当時からはあの辺りもずいぶん変わっていて、JRで京都駅に行くときには目を凝らして眺めてしまう。そういう場所なので、今回のことで、改めてGoogle Earth などを眺めて見ると、ちょっと感慨があった。

それから、このことがあるまで、まったく意識したことはなかったのだが、このことを推進している京都市長門川大作という人も、なかなか“個性的”な人らしい。

そんなこんなで、場所にしろ、オリックスにしろ、京都市長にしろ、反対している人にしろ、いろいろな事情がつながってきて、いかにも京都らしい図式だと思えてくる。

さらに、情報を集めていて知ったのだが、この水族館を運営することになっているのが、新江ノ島水族館アクア・トト岐阜を運営している会社であり、その代表が堀由紀子という人らしい。これらの水族館を実際に見たことはないし、堀由紀子という人のこともよく知らないのだが、梅小路にまつわる事柄と結びつけて考えると、いろいろ見えてくることもあるようだ。

そんな有象無象の人の思惑が入り乱れて、今まさに建設されているのが、この水族館の計画らしい。

(続く)