コクロヒメテントウ、ハリブトシリアゲアリ、アリマキ

たまたま、我が家のレッドロビンの葉っぱの上で、以下のような写真を撮った。我ながら、なかなかうまく撮れたと思うのだが、問題は、ここからどのようなストーリーを読み取るかだろう。



(2010/05/22 撮影 )

まず、撮影をするときに思ったことは、少し前にナミテントウをこのブログで取り上げたので、そのときにテントウムシの幼虫について、写真も見ていた。それで、「おっ、テントウムシの幼虫!」ということで、注意が向いたのだと思われる。そして、テントウムシの幼虫がアリマキを食べようとして、それを守っているアリとの間で、小競り合いが起こっているものとして、写真を撮った。


次に、各種類の同定である。テントウムシについては、案外簡単にわかった。テントウムシの幼虫が載っているサイトをじっくり目をこらして見ていくと、コクロヒメテントウという種類に、かなり似ていることがわかり、さらにその名前で検索をすると、さらにいろいろな写真が見れるので、たぶんこの種類だろうと同定した。(コクロヒメテントウ

アリについては、最初から簡単には同定出来ないだろうと思っていたのだが、写真をじっと眺めていると、腹部の部分が、トランプのスペードをやや引き伸ばした感じで、かなり特徴的なように思えてきた。それで、「日本産アリ類画像データベース」のイメージ検索で、私が住んでいる近畿地方の最普通種の写真をじっと睨んでいると、シリアゲアリ属に似ているような気がしてきた。それで、さらに種類の一覧も睨んでいると、ハリブトシリアゲアリに似ているように思えてくる。

さすがにアリマキの方は、こんな写真では同定出来ないだろうとあきらめているが、少し前にハボタンの花茎に一面に付いていたものを写真に撮ったときには、いつか機会があれば、きちんと標本をつくって、手順を踏んで調べていけば、同定も出来るのだろうかと思ったりもした。



(2010/05/02 撮影 )


以上の同定は、まあ当たらずといえども遠からずぐらいにはなっているだろうか。実際、「コクロヒメテントウ ハリブトシリアゲアリ」で検索すると、以下のようなサイトにも行き着く。「コクロヒメテントウの幼虫 - 我が家の庭の生き物たち (都内の小さな庭で)


問題なのは、この3者の関係だろう。写真のアリマキは翅が生えているようだから、飛びまわっていて、葉っぱに止まったところをコクロヒメテントウに捕まったのだろうか。さらに、コクロヒメテントウは、白い蝋物質を分泌して、アリに対して「私はカイガラムシです」と偽装しているらしいから、ハリブトシリアゲアリは、アリマキを守っているのではなく、テントウムシの方に集まって来たらしい。


以上のストーリーの読み取りは、なにか根本的な誤解を含んでいるかも知れない。なにしろ、写真を撮ろうと思ったところから、なまじっかな知識で、誤解に基づいていたのだから。しかし、いろいろな情報をすり合わせて行くことで、一応は整合性のある話になっているのではないだろうか。

写真に撮ったイベントはその場限りのことである。しかも、見ようとしなければ、見過ごしてしまった現象だろう。それをデジカメが記録してくれたことになる。さらに、いったんこのように考えた後では、アリマキが集まっているところを見る目が違ってくることだろう。路傍百種で、生物の名前を覚えることは、その名前を介して、生物の関係を読み取ることでもあった。


(2011/05/19 追記):
上のハボタンに付くアリマキ、2011/05/19 の記事に触れたように、「アブラムシ入門図鑑」によれば、アブラナ科に付くこと、「多量のロウ質白粉で覆われている」ことから、ダイコンアブラムシのように思える。まあ単なる絵合わせだから、あまり自信はないが。