13歳のハローワーク2:オーケストラ団員

先に述べた「13歳のハローワーク」のサイトに、オーケストラ団員という文章がある。

交響楽団に所属するクラシック演奏家のこと。ただし、交響楽団はそれほど多くの楽団員を募集しているわけではなく、たとえ音楽大学を出ても、交響楽団に入るのは簡単ではない。たとえば東京芸術大学の音楽科の、約400人の卒業生のうち、交響楽団に入るのは数名だといわれている。後は学校の音楽教師になったり、アルバイトをしたり家族の援助を受けながら、演奏家としての活動を続ける。だが、「食えない」からといって、クラシックを演奏する喜びと充実感が失われるわけではないし、クラシック音楽の厳しい訓練による達成感は、常に新しい才能を呼び寄せる。

なんとも感動する文章ではないか。

野暮なこととは思いながら、ここでも“フェルミ推定”をやってみると、日本国内にオーケストラの数は40にも満たない(オーケストラの一覧 - Wikipedia)から、オーケストラの団員の数は、せいぜい4000人程度だろうか。ピアノ調律師と同じくらいか、むしろ少ないくらいだろう。

しかも、音楽大学の数が40程度はある(音楽大学 - Wikipedia)から、毎年の大量の卒業生のうちから、ほんの数パーセント(おそらく1パーセントにもみたない?)の選ばれた人たちだけが、オーケストラの団員になれることになる。



ここで、久しぶりに橋下大阪府知事のことを書く。橋下知事の一連の「文化破壊活動」の中で、大阪センチュリー交響楽団補助金の削減もあった(大阪府立博物館と橋下知事5:このところの橋下知事の動向 - ebikusuの博物誌)。そこで引用した「お笑いが大阪文化の基本」という発言と、上の村上龍の文章とをよく読み比べてみればよいだろう。

音楽に対する広大なすそ野が広がっていて、そこにオーケストラの団員がそびえているようなものだろう。そのような尊敬すべきオーケストラ団員たちに対して、失礼な発言を橋下は繰り返して来たことになる。もしも、国内のオーケストラの団員が団結できるなら、文化に理解のない知事がいる大阪府で、当分は公演をしないことにしてもいいのではないか?

このことからも、橋下知事の公約で述べていた「子供のこと」も「教育のこと」も、まったく信用できないことがよくわかる。