サルトリイバラ

干支のことを考えていたせいか、サルトリイバラという植物名が思い浮かんだ。「猿酉」いばら?と思ったのだが、「猿取り」いばらだった。トゲに"猿でさえひっかかる"という意味らしい。


ついでに、「さんきらい」とも言うことは知っていたのだが、これは「山帰来」らしい。これも音だけ聞いて覚えたので、なにかが3つあるのかと勝手に思っていた。漢字を知ってみると、なにか意味ありげな単語ではある。


この植物の葉っぱは、西日本では、“柏餅”に使われるわけだが、多くの植物の葉っぱがある中で、なぜこの植物が使われたのか?興味があるところ。別に、もっと柏に似た葉っぱを選んでも良さそうなものを、テカテカしていてまったくの別物のようなものを、なぜ選んだのだろうか。


ネットで検索してみると、広島工業大学の中野武登さんが、一番に出てきた。ご本人とは面識はないのだけれど、はるか以前にお顔は拝見したことがあるので、懐かしかった。


このサルトリイバラ、葉っぱは円形で、とても単子葉植物には見えないのに、ユリ科だというのは、かねて不思議に思っていたが、中野さんでもそう思うらしい。


さらに、雌雄異株であるらしい。そう言えば、赤い目立つ実をつけることからして、鳥に食べられて、種子が分散することが関係するのだろうか。


先ほど、身近なところで、この植物の写真を撮ろうと思ったのだが、葉っぱが落ちて、茎だけなのであきらめた。そのうち、写真らしいものが撮れれば、後になっても掲げたい。


この文章は、熊楠の「十二支考」を真似てみた。熊楠のように、湧き出るような知識があるわけもないが、自分の身の回りで見られる生物を素材にして、あれこれ書いてみたい。
「路傍百種」と名づけたい。