柳田国男の民俗学

先に引用した、「南方熊楠と朝鮮 ―今村鞆との関係から―」のページで引用されている川村湊 『「大東亜民俗学」の虚実』(講談社選書メチエ、一九九六)をたまたま持っていたので、少し読んだ。


そこでびっくりしたことは、柳田国男民俗学に「比較の視点」が欠けているとの話だった。日本国内だけでも、調べるべきことが多くあって、充分おもしろくて、国外にまで手がまわらないということは、わからないでもないが、それでも多くの“植民地”を持っていた時代に、しかも南島経由での日本の文化の起源のようなものを考えていながら、比較を拒否していたのは、驚きである。よほど忌避するような理由があったのだろうな。