キンカン(金柑)

妻が知り合いからキンカンをもらって来た。紀伊大島産ということで、キンカンの産地として有名なところのものである。





(2013/02/26 撮影)

キンカンは皮を食べることからして、普通のミカンとは違っている。それで、ミカンほど好きではないのだが、果実ごと甘く煮たものやマーマレードなどにすると、けっこう美味しい。今回のものも、マーマレードにしてくれるものと期待している。


前回、ミカンの分類を書いたので、キンカンの分類についても興味が惹かれる。まず種類の同定としては、佐賀大学のページに多くの種類の写真が載っていて、丸いもの、細長いものの区別がよくわかる。今回の種類は、円いもので、重さが10数グラムはあるから、ニンポウキンカン Fortunella crassifolia だと思える。同じように丸いものにマルミキンカン Fortunella japonica というのがあるらしい。こちらは6〜8グラムで小さいようだ。紀伊大島はキンカンの産地だから、質の良いものを選んで植えているのだろうか。


ミカン類(Citrus 属)とは違って、キンカンFortunella 属に含まれるらしい。Wikipedia の〈キンカン〉によれば、以前からこのブログで取り上げているスウィングル博士が4種、田中長三郎は6種あるものとしているらしい。スウィングルの分類では、ニンポウキンカンは、雑種と見なされるらしい。ところが、この英語版では最大限7種を含むらしいが、中国の研究者などは、Citrus japonica 1種とみなして、さらにFortunella 属も認めないらしい。


このマルミキンカンは、Citrus japonica Thunberg ということで、1784年の Flora Japonica で報告されたらしい。キンカン自体は、中国から日本へ伝わったということだから、中国原産のものが移入された日本から、初めてヨーロッパに報告されたことになる。


写真を撮るために、断面を切ってみると、中の種子の緑色が目立つ。このような胚が緑であることもキンカン類の特徴らしい。上の佐賀大学の記載では、マルミキンカンは4〜6室、ニンポウキンカンは6〜7室ということで、この点では、マルミキンカンに当てはまることになる。


キンカンというものも、調べ始めると、いろいろな情報がつながってくるようだ。