スグリゾウムシ

ゾウムシの仲間は、簡単には同定できないと思っているし、同定しようと試みたものの、あきらめたものも多い。今回は比較的ピントが合った写真が撮れたのでチャレンジしてみた。



(2012/09/09 撮影)

とは言うものの、真横から撮った写真しかないので、注目できるような特徴は、体全体の比率やバランス、吻や触角の伸び具合、足ががっしりしているところだろうか。

いつもの福光村昆虫記をじっとニラんでいると、スグリゾウムシに似ているように思えて来た。上に述べた特徴などでも、一致するように思える。いろいろのページを見ていると、ごくありふれた種類のようだから、たぶん同定も間違っていないだろう。

いろいろなページを見たのは、福光村昆虫記に以下のような記述があったからである。

本土のスグリゾウムシは交尾なしに、単為生殖と呼ばれる生殖方法で、♀だけで増えています。日本では男女群島に♂が生息しているそうです。(保育社原色日本甲虫図鑑より)

単為生殖と聞くと、なぜなのか?と調べたくなってくる。「ゾウムシ 単為生殖」で検索をしてみると、その原因として、染色体が倍数化していたり、細菌のWolbachia の感染による雌化ということがあるらしい。Wolbachia については、進化の教科書でいろいろ読んだことはあるが、自分の身近な生物に関わりがあるのは初めてのことである。Wolbachia はボルバキアと表記するらしい。最近では珍しいドイツ語読みということになる。

これらはどちらかというと至近要因と思える。また、どの種類にどの要因が効いているかも、よくわからない。Wolbachia は、自分の生息場所を増やすために、ホストを操作しているのかも知れないが、クローンになってしまった集団の運命や、成虫や幼虫の生息場所が、どのように雌だけを生み出すようになっているのか、興味が湧いてくる。

ゾウムシは、同定がむずかしいからと敬遠して来たためか、これまでに扱ったのは、クリアナアキゾウムシだけである。今後は見つけたときには、毛嫌いせずに写真を撮って行きたい。