サルスベリ

サルスベリは栽培植物だから、本来ならばあまり興味を持たないはずなのだが、夏の暑い盛りに咲く赤い花は、どこか惹かれるところがあった。我が家の庭に植えているものを眺めてみると、意外と複雑な花が咲いていた。それで、取り上げることにした。



(2012/09/09 撮影)

いつもの植物雑学事典では、「花弁は6枚(〜7枚)で根元が急に細くなっており、中心に多数の雄しべがあるが、そのうち外側の6個は長い。雌しべは中心に1本」と書かれている。縮小した画像ではわかりにくいが、この花には、7本ずつのがくと花びらと外側の雄しべとがあり、雌しべの柱頭は下から上向きに伸びている。

こういう2種類の雄しべがあるときに、どういう意味があるのだろうかと気になってくるのは、この路傍百種でいろいろな花を調べてきたおかげだろう。

それで、「サルスベリ 雄しべ 2種類」などで検索してみると、「樹の花図鑑 気ままに自然観察」がトップに出てきて、そこでは多田多恵子さんの著書を引用して、受精に役立つのは長い雄しべで、短くて目立つ雄しべは、花粉は出すもののの染色体(DNA)を含んでいない見かけ倒し、という趣旨のことが書いてある。雄しべや雌しべの柱頭の方向などを含めて、おびき寄せた虫で、うまく受粉されるようになっているのだろう。


我が家のサルスベリは、今の家に住み始めてすぐの2008年に、妻が持ち込んだ。最初の頃、多くの植物が根付かずに枯れてしまった中で、なんとか生き延びたようだ。あまり大きくならないので矮性の品種かと思ったりもしたが、今では少しは大きくなって来た。最初の頃は、花が咲かなかったように思うが、何年か経って少しだけ咲き始めて、そこから種子が実ったのか、すぐ横に昨年芽生えた株が生えている。

それから、友人からまた別の株をもらった。こちらは、白い花だということなのだが、まだ花をつけるところまで行っていない。

サルスベリの花は誰もが知っているものだろうが、花をここまで見るというのは、路傍百種の文章を書いているおかげである。