このブログにおける生物の同定について

路傍百種自宅編を始めたのが2009年の9月だったから、まる3年が経過したことになる。2年目までは、1年前はどうだったということで、記憶を呼び覚ますことができたのが、3年目になって、あれは何年前のことだったかと混乱し始めている。まあ、年のせいで、物忘れがひどくなったこともあるのだが…。

このブログでこれまでに400種余りを同定してきたが、同定については、毎回エイヤーと同定しているものが多い。そのグループに詳しい人からみれば、いい加減で間違いだらけのものと思えるだろうが、私なりにその時点で得られた情報から、判断をしている。それでも、同定できなかったり写真がうまく撮れなかったりで保留にしたものも多い。とにかくも仮に同定してアップしたものを含めて、どういう扱いをしたのか、そろそろ訳がわからなくなってきている。そのうちに、同じものを別の名前で扱ったり、以前に述べたのと同じことを繰り返し述べたりするのではないかと恐れている。

いずれにしても、過去に書いたことや、写真は残っているので、それらを手間を厭わずに参照して、昔の記録とつなげて行きたい。


ここでは、これまで同定をしてきたときに、主として参照させて頂いたサイトなどをまとめて掲げることによって、同定の根拠や典拠を示したい。このブログを日常的に書くときに、ほとんど図鑑というものを使っていない。もちろん、古い図鑑を少しは持っているし、この機会に買った図鑑もいくつかあるが、大部分の同定はネットで行っている。

最初は、どのようなサイトがあるのかもわからなかったのだが、やっているうちに、どのサイトをどの順番で参照するのかも、少しずつ定まって来た。そのような日頃お世話になっているサイトを以下にまとめて掲げる。


植物

岡山理科大学波田善夫氏による「植物雑学事典
植物の場合には、真っ先にこのサイトを参照させてもらっている。科名がわかる場合には、「科名一覧」のサムネイルからそれらしいものを順番に開けて行って同定している。もちろん、科名がいつでもわかっている訳ではないから、不明の場合にはそれらしい科名を順番に見ていくことになる。種名がわかっている場合でも、「種名一覧」からまずは読んでみて、いろいろな“雑学”を勉強させてもらっている。ここから、改めて勉強する方向性を広げることにもなっている。


日本の植物たち

このサイトは、種類が比較的網羅されているので、「植物雑学事典」で載っていないような種類の同定に利用させてもらっている。特に、園芸植物や栽培植物の同定するのには、かなり参考になる。


福岡教育大学の福原達人氏による「植物形態学

このサイトでは、より深く学びたいテーマについて参照させてもらっている。特に、花の形態、科の特徴、繁殖生態などについて、勉強させてもらっている。一度読んだくらいではとてもすべての事項は理解できないので、少しずつ理解していく目標になっている。


昆虫
昆虫については、以下の2つのサイトで、同定している。

岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)」のサイト中の「昆虫図鑑(昆虫生態写真集)」から、順番に分類の階層を下って行って、種までたどり着ける。このサイトの利点は、ある程度の種類を網羅してあって、サムネイルからそれらしいものを順番に開いて行って、同定できることである。もちろん、どのような分類群かがわからないことも多いので、そのような場合には、これは?と思えるものを、シラミつぶしに見ていくことになる。


福光村・昆虫記

このサイトは、写真が綺麗なので、ある程度目星がついているものについては、こちらでいきなり確認することも多い。


幼虫図鑑

幼虫に特化したサイトで、イモムシ・毛虫から同定するときに利用させてもらっている。しかし、サムネイルによる検索は、色などで大分けをしているだけなので、かなりの数のサムネイルを注意しながら見ていかなければならない。ここで同定するには、それなりの覚悟が必要となる。


みんなで作る日本産蛾類図鑑V2

蛾類について、かなりの種類を網羅しているものと思われるが、大きな科について、順番に見ていくのは、やはりかなりの覚悟が要る。他のサイトである程度亜科や属まで目星を付けてみて、最後に近縁種も含めた確認のために見ることが多い。


幼虫や“害虫”については、宿主の植物と適当な検索語句などを組み合わせて、「オクラ 毛虫」などと検索することでも、それらしい種類にたどり着けることも多い。


その他に、同定のためではないが、いろいろな地域で自然観察や写真撮影をされている方々のブログを「はてなのアンテナ」に登録して、更新されたものを適宜参照している。たとえ地域は違っていても、同じような時期に、どのような生物に注目されているかで参考になるし、意外と同じような生物に注目されていることでびっくりすることがある。多くの美しい写真をみると、自分の写真のいい加減さに嫌になってくるのだが…。


学名

学名や名前談義をよくするが、植物の名前については、以下のサイトが簡便に説明されていて重宝する。「学名」一覧 (ラテン語):植物の名前


他に、「新牧野日本植物圖鑑」の巻末の学名の解説も役に立つ。


学名全般については、大槻 真一郎「科学用語語源辞典 ラテン語篇」が、役に立つ。英語の本では、Jaeger の A Source-Book of Biological Names and Terms がよく載っている。他にもいろいろな学名の本を買ったが、意外と網羅されていなくて、あまり常用していない。便利な本があれば、コメントください。

また、学名とetymology を並べて、例えば「Drosophila etymology」で検索すれば、それなりの語源がわかることがある(わからないことも多い)。



同定について

当たり前のことながら、種まで同定するためには、どのような科や属に所属するのかがわからないといけない。ところが、多くの場合にはなんの仲間であるかさえもわからないのだから、それらしきものを手当たり次第に見ることになる。そういう意味では、サムネイルの画像が載っているサイトでないと利用できない。印刷された図鑑であれば、写真のページをざっと見ていく作業だろう。

いったん名前さえわかれば、名前で検索できるし、Google の画像検索でも特徴的な画像にも行き着ける。この作業は、紙の図鑑でいえば、解説を読んで確認する作業だろう。また、異なる図鑑で異なる写真などを確認することにも当たるだろう。

しかし、このようなとっかかりがない場合には、迷宮入りということになる。そういう場合でも、他の種類を調べていて、あの種類はこれでは?ということで、とっかかりが得られることがある。

以上のような探索の過程や、同定の根拠などは、このブログではできるだけ述べるようにしている。


ところで、写真だけで同定するなどという行為は、「絵合わせ」ということで、専門の研究者は往々にしてバカにする。本来ならば、その分類群に特有の形質(例えば交尾器のようなもの)をきちんと標本に即して観察しなければいけないものを、全体的な印象で単に同一視しただけということなのだろう。しかし、最近のネットではすばらしい写真があふれていて、いろいろなポーズや部分の写真などを照合することが可能となっている。図鑑には限られた枚数の写真しか載っていないから、多数の写真と照合するなどということは、ネットの時代でなければ不可能なことだった。要は、写真で同定することの限界をわきまえたうえで、写真から読み取れることの可能性を考えることだろう。


ついでに、このような作業をするために、以前ならば、大部の図鑑やら資料などを取り揃えなければならなかった。写真を撮ること自体も、敷居が高かった。いずれの場合にも、それなりの投資をして、趣味としてのめり込まなければ出来ないことだっただろう。それが、今やコンパクトデジカメと、ネットを参照するだけでできるようになった。まさに、インターネット時代のおかげである。


そういうわけで、でたらめな同定と、でたらめな写真で、混乱するような情報を垂れ流しているかも知れませんが、少しずつ自然認識を深めて行っているものと、ご理解ください。間違いのご指摘などもよろしくお願いします。