福定の大イチョウ

先の日曜日に、中辺路にある福定の大イチョウを見に行って来た。このイチョウはものすごく有名で、インターネットを検索するだけで、素晴らしい写真がいっぱい見つかるのだから、私のヘタクソの写真などは付け足しにもならないものだろうが、それでも、「名木」というものが、その木を見て、いろいろな人がいろいろな思いを抱くものだとすれば、この拙い記事もその思いのひとつとして書き残しておきたい。




(2010/11/28 撮影)

このイチョウは、和歌山県中辺路町(今は田辺市)の福定という集落の宝泉寺の境内にあって、高さ22メートル、幹周り 5.3メートル、樹齢400年以上というのだが、そんな数字とは関係なしに、すぐそばの国道311号線熊野街道)を通っていると、逢坂峠に差しかかったときに、小高い斜面のところそびえているのが見える。黄葉のときや新緑のときに、一度でも目にすれば、それ以後は、ここを通るたびに目を向けたくなるものだろう。

そんなことで、このイチョウのことを知って20年近くになるが、黄葉のシーズンにすぐ近くまで見に行ったのは、2年前に行ったのが初めてだった。そのときには、駐車場で地元産品を売ったり、夜間にはライトアップをしたりしていたようだ。地元の人にすれば、普段は静かなところに、車が押しかけて来て迷惑なことだろうが、一年のほんの1−2週間ほど、お互いに賑わいを楽しむことが出来るのなら、それもまた素晴らしいことだろうと思った。

今年は、妻とその母といっしょに行った。母も、ニュースかなにかで見て、興味を持ってくれていたようだ。前に行ったときと同様に、国道から多くの車が出入りして、賑わっていたが、今回は販売所は出ていなかった。それに、前回は開いていたお堂も、雨戸が閉められたままだった。押し寄せる人の数に対して、集落の数少ない人たちで対応するのは、大変なのかも知れない。それに、すぐ隣りに住んでおられる方が、黙々と枯葉を整理されていた。おそらくは、放っておいて、踏みつけられて、汚くならないように配慮されているものと思えた。


ネットで検索していると、このイチョウGoogle Earth でも見えるとのことだった。早速見てみると、航空写真の精度が良くなっていて、周辺が一望のもとに見られる。富田川の川岸から延びた斜面に、畑が切り開かれていて、その一角に大きな樹冠を広げているのがよく見える。このイチョウの特徴として、開けた場所で自由に枝を広げていることもよくわかる。国道 311号線の旧道がこのイチョウのところで蛇行しているのもわかる。



イチョウを見た後に、その旧道を通って、狭い旧逢坂峠トンネル(対向車とすれ違うところが途中に一箇所あるだけ)を抜けて、牛馬童子像のところへ向かった。あれほど車が出入りしていたのに、こちらへ向かう車はほとんどなかった。


「名木」のカテゴリーとして、熊野古道の入り口にある藤白神社のクスノキと、熊野の中心にある熊野速玉大社のナギをとりあげたので、次は、熊野古道の途中のどこかの木を取り上げたいと思っていた。昔の写真を引っ張り出してくることも出来たが、訪問した直後の印象を書きたいと思っていた。ちょうど、妻の母とともに、絶好のシーズンに訪問することが出来た。


(2010/12/06 追記):上の Google Earth の写真は、2010年3月8日の写真らしい。それで、イチョウの葉っぱが落葉したものが写っているのだろう。Google Earth では、別の時期の写真も表示できるみたいで、2006年の10月16日のものが見られる。その写真では、イチョウの木も緑色で、まん丸の円状に広がっている枝ぶりは、こちらの方がよくわかる。場所は、(33°49'10.88" N 135°33'45.44" E)で、この数字からも、位置が検索できる。