藤白神社の楠

名木のついでに、昔の写真ではあるが、和歌山県海南市白神社の楠を掲げる。



(2001/09/24 撮影)

この楠は、知る人ぞ知る有名なものだろう。南方熊楠の名前は、この神社の楠にちなんだものである。それだけでなく、熊野街道の熊野への入口として、藤白峠を前にして、多くの熊野詣の人たちが、この楠を眺めたに違いない。樹齢は800年とか1000年とかいわれているようだ。楠は成長が早いので、樹齢にサバを読まれがちだとしても、熊楠が生まれた時点で既に由緒ある大木であったようだし、昔の飢饉のときに、そのうちの1本を切ったとか言い伝えがあるようだから、いずれにしても相当な年数を経ているに違いない。

この写真を撮ったのは10年近く前になる。藤白神社へ行ったのは、そのときが初めてだったと思う。以前から、すぐ横の高速道路の入口のところは通過していたのだが、神社の入り口がよくわからなかった。当時のデジカメでたまたま撮ってみたら、案外うまく撮れたのでよく覚えている。その後、海南市とは縁が出来て、この近くを通る機会があると、よく見に行くようになった。

おそらくこの半世紀ぐらいの間に、周囲の風景は激変したものと思う。万葉集に歌われた黒牛潟も埋め立てられたり、すぐ近くに高速道路のインターチェンジが出来たり。そのような変化の中にあっても、この楠は昔と変わらずそびえて来たことになる。