「進化論はなぜ哲学の問題になるのか」の感想1

この本は、朝日新聞の書評欄で、作家の高村薫氏の書評を見て、買う気になった本である。その書評を読む限り、高村が、進化論と哲学の結びつきについて、その本の内容にまで立ち入って理解しているようにはとても思えなかった。そのくせ、なんとなく問題の重要性だけは認識していて、なんとかして理解しようとトライしたことが読み取れる。しかし、書評の文章はおおよそ表面上のキーワードをなぞっただけで終わっている。そういうことが逆に、彼女のような人が、そこまで思い、そして書評を書こうと思い到ったその本が、どういうものだったのか、興味をかきたてられることになった。

多少なりとも進化のことを学んだ者からすれば、進化論が哲学との関わりを持つのは当然のことと思えるから、それを敢えて「なぜ?」と問うからには、特別な問いかけと解答の道筋があるものと思ってしまうが、目次の内容を見れば、ごく普通の個別のテーマの章が並んでいるだけである。おそらくは why ではなく how として、進化論の様々な側面が、どのように哲学の問題になるのかを論じているのだろうということは、想像がつく。本のタイトルは単なるキャッチコピーとして、大してこだわりがないのかも知れない。それでも、「なぜ?」への一番簡単な答えは、「哲学者が問題にするから」だろう。各執筆者が、それぞれのテーマについて「なぜ問題となるのか」あるいは「なぜ問題とするのか」について、どう答えてくれているか、期待して読んでみたい。

注文していた本が、数日前に着いたので、ちょこちょこ読んでいる、随時、感想を載せて行きたい。