ヒメヒオウギズイセン、グラジオラス





ヒメヒオウギズイセンは、前に住んでいた家の周りに生えていたものを移植した。普段はほとんど草みたいなもので、ほとんどありがたみを感じない植物なのだが、梅雨のまっ最中に燃えるような真っ赤な花をつけるので、そのときだけは植えておいてもいいかなと思うような植物でもある。今の家に住み始めた2007年の秋に、こんな植物でも荒れ地の賑わいということで、庭の端っこに植えた。昨年、はみ出して来たものを抜いて、枯葉として積んでいたら、そこからも芽を出して花をつけている。どこにでも蔓延るようだ。

そんなことを思って、ネットで検索してみると、「花図鑑のボロボロブログ!」というサイトによれば、南アフリカ原産で、ヨーロッパで園芸品種として改良されたもので、栽培されたものが逃げ出して野生化しているらしい。日本に入ってきたのは、明治の中ごろとのことだが、妻の母が子供の頃、キンギョソウなどと呼んでいたというから、どのような経路で拡がって行ったのだろうか。

帰化植物だと言われてみると、たしかに道路沿いの森の縁辺部などに目立つのだが、どこか撹乱されたような場所に思える。帰化植物の環境というと、開けた裸地をイメージしていたのだが、日陰の場所でも入り込んでくるらしい。そういえば、前の家の周りにはノハカタカラクサも生えていた。

この植物は、名前談義にもなるだろう。ヒメヒオウギズイセンとはいうものの、スイセンではなく、アヤメ科らしい。ヒオウギと呼ばれる別の植物もあるようだし、海の貝にヒオウギというのもある。檜扇というのは、檜の薄板を重ね、要を金物で留め、上端を白糸で綴り連ねたもので、昔の貴族の衣装で使ったらしい。アヤメ科のものの葉っぱの部分が、それに似ているのだろう。

学名の方も、Crocosmia×crocosmiiflora ということで、交配種であることを示していて、またの名前のモントブレチアというのは、フランス人モントブレットさんにちなみ、 Crocosmia は、ギリシャ語の「crokos(サフラン)+ osme(匂い)」 という意味らしい。

この花の構造を理解しようと、いつもの福岡教育大学のページを見ると、どうやら、雄しべが3本で、雌しべの先端が後になって3裂するらしい。グラジオラスも同じような花を咲かせるらしい。


それで、ちょうどグラジオラスの花も花壇に咲いているので、以下に掲げる。グラジオラスも、昨年から植えているが、花の時期が長くはないし、背が高くなった後で、倒れてしまったりして、どうも落ち着きの良くない花のように思っていた。




たしかに、球根の感じはヒメヒオウギズイセンに似ているし、葉っぱの根元も檜扇のようになっている。花も、雄しべが3本で、雌しべの柱頭が3分している。

園芸植物は、花として見れば、キレイ・美しいなどと形容するしかないのだろうが、他の植物と比較すれば、また別の面が見えてくる。

ついでに、学名の Gladiolus は、ラテン語の「gladium(剣、小刀)」で、葉がとがった剣形をしていることから来ているらしい。