ゴマノハグサ科の植物:トキワハゼ、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ

連休中、畑の畝作りに精を出していて、その作業に追われて、植物自体はあまりゆっくり観察しなかった。春の植物も、少しずつ入れ替わっているようだが、春の初めころの植物で取り上げていないものもあるので、それらも含めつつ取り上げたい。

前回のマツバウンランゴマノハグサ科であることを見つけたのは、今回取り上げる種類を検索していたときだった。


●トキワハゼ
この植物は、妻が実家から持って来た植木鉢に、下草として生えていた。最初、ムラサキサギゴケという種類かと思ったのだが、花が少し小さくて、4月から秋まで花が咲き続けることから、「ときわ」の名前の由来となっているらしい。



(2010/03/20 撮影)

小さい花だけれど、興味深い形をしているので、ぜひとも増えて欲しいと思って、庭のいくつかの場所に植えつけたのだが、春になって急に伸びた他の植物に負けているのか、少し元気がなくなってきた。種から芽生えてくれることを期待している。

写真に撮ってみると、つくづく複雑な形や模様をしていると改めて思う。両側から、毛玉のような葯らしきものが出ていて、その前の模様や微細な毛なども、いかにも昆虫を呼ぶための構造のようである。このページには、詳細な拡大写真が載っているので、機会があれば、解剖して構造を理解したいと思っている。


オオイヌノフグリ
この植物は春の植物として馴染みのものであるが、このような植物でさえも、我が家の庭には生えていないということで、どこかで植物ごと抜いて持って帰って来て植えたように思う。それでも、まだ多くなく、今年は畑の畝の一画で咲いただけだった。



(2010/03/22 撮影)

この植物の名前は、一度聞いたら忘れられないものだろう。 「犬のフグリ」で、フグリとは陰嚢の意味であることは、この名前を語るときには、必ず触れられる。

一方、学名の方は、Veronica persica で、属名は、キリスト教の聖者の名前から来ているらしい。さらに、たぶん vera 真の、 eicon 像と関連しているらしい。聖者の名前が「犬のフグリ」とは、ひどい譬えに思えるが、testis (精巣)と testimony (証言、証明)とはつながっていることからすれば、あながちデタラメな命名ではないというのは、深読みしすぎだろうか。ヨーロッパ原産の帰化植物ということであるが、種小名はペルシアということで、ヨーロッパからユーラシア大陸の西部に広がっていたのだろうか。

ついでに、和名のクワガタソウ属というのはなんの意味かと思ったら、写真をよく見てみれば、おしべが一対伸びている姿は、まさしくクワガタムシの角ではないか。そして、花自体もよくよく見てみれば、4枚の花弁は、四放射相称ではなく、左右対称となっていて、さらに前後もあるに違いない。

ここまで来ると、前のトキワハゼ、マツバウンランの花の構造まで、統一的に理解できるような気もしてくるのだが、まあゆっくりと勉強していきたい。


タチイヌノフグリ
この植物を意識したのは、オオイヌノフグリがいっぱい増えてきたのかと思ったら、少し花が小さくて、どうも別種のようだと思ったのがきっかけだった。名前を知ってみると、たしかに茎も立ち上がっているようだ。



(2010/04/25 撮影)

学名は、Veronica arvensis で、種小名は、地名にちなんだものでなく、arv = field, cultivated land ということらしい。たしかに、畑の畝に生えているようだから、我が家の耕作された場所ということになる。