ナンテン

冬を前にして、いろいろな木の実が目立ち始めた。我が家でも、ナンテンの実がかなり目立っている。少し前に、友人のホームページで、ナンテンという名前から「難を転じる」こと、それに進物のお返しに葉っぱを添えること、鬼門の方角(北東)に植えられること(我が家のナンテンは、前の住人の方が植えられたもので、家の南西に植わっているが)などを知った。いつものこのページをみると、葉っぱには防腐効果があり、魚料理や赤飯などに添えられること、果実には咳止め効果のあるアルカロイドが含まれているとのことだった。そういえば、「南天のどあめ」とかいうものもあった。知らなかったことが多いが、なんとなく納得のいくことばかりである。さらに、果実の薬効成分は、鳥に一度に大量に食べられないようにする工夫らしい。



このようなページを書き始めるまでは、木の実は動物に食べられるためにあるとは知っていたが、具体的な文脈で考えたことがなかったから、せいぜいのところ、「ああ、目立っているなあ」くらいにしか思わなかった。

今、冬を迎えるにあたって、そのうちに食べてくれよと、鳥に向かって宣伝しているように見える。まさに、花が昆虫を呼ぶための看板なら、実も鳥に対する看板なのだろう。食べてもらって、種を遠くまで運んでもらわないといけない。単純に遠くへ運ばれることだけが目的ならば、タンポポのような毛を生やせばいいだろうにと思うが、それだと、大きな種子には出来ないのだろう。

動物に食べられて分散するものには、雌雄異株ものが多いと、アカメガシワのところで書いた。ところがナンテンは雌雄同株で、両性花のようだ(このページナンテンの花を見てみると、どうして今までナンテンの花を注意して見なかったのだろうかと思えてくるほど、美しい形をしている)。

それでは、ナンテンはどうして雌雄異株にならなかったのだろうか。大量に実をつけて大量の鳥を集める宣伝効果が生じるほどには、ナンテンは大きくならないからだろうか。しかも実の付けかたが、細い枝の先に大量に実るような感じで、いかにもとまりにくい場所で少しずつ食べてもらうようにできているのかも。

そんなことを考えると、これからの冬に、ナンテンの実がどの鳥にどのように食べられていくのか注目してみたい気になって来た。



(2009/11/30 追記):
果実の中身を割ってみると、平たい2個の種子が出てきた。2枚の子葉が割れたのかと思ったのだが、2個の種子らしい。どんな風にして、子房の中に2個の種子が形成されるのか、知らないことだらけではあるが、追々と学んで行きたい。