コミカンソウ

コミカンソウという植物は、以前から名前は知っていたかも知れないが、あまり意識はしていなかったと思う、我が家の庭の中で、畑や花壇にしようと耕した部分に生えているような気がする。耕していない部分は、相変わらずチガヤやススキやギョウギシバなどの単子葉植物が支配している。


よくよく見てみると、色も実もかわいらしいということで、妻が食卓の上に、小さなビンに生けていたら、夜になって、葉が閉じることに気がついた。



それで、「なぜ閉じるのか?」と考えてみると、このサイトでは、ネムノキについて、葉を閉じることの意味が書かれている。

これは、乾燥地に進出したマメ科の特徴で、ニセアカシアやハナエンジュ、フジ、コマツナギなどでも見られます。 葉を閉じるのは、乾燥に適応して水分の節約と思われそのためには葉が対生で、気孔のある裏面に合わせて2枚が合体できるのが便利だからです


なるほど、今回の種類はトウダイグサ科だが、この科の植物も乾燥したところに多く生えていそうだから、同じことが当てはまるのだろう。そういえば、我が家で生えているマメ科ラッカセイでも、夜に葉をぴったり合わせて閉じていたように思う。

それに、この葉の開閉は、浸透圧や膨圧を利用しているのだろう。そんなことが、昔の高校の生物の教科書には載っていたような気もする。そして、光合成産物のブドウ糖などの濃度を合わせて考えれば、いかにも物理化学的に説明された気になっただろう。

でも、気孔は表面・裏面のどちらで多かったのだろうか。あれ?と思って、改めて写真を見てみると、表の面を合わせているような。それに、葉がぴったりとは合ってはいない。それでいつものこのサイトを見てみると、葉は互生とある。だから、少しずれて重なり合っているのだろう。そんなわけで、片側の面をぴったり重ねているのでもないから、コミカンソウの場合には、必ずしも乾燥を防ぐためでもないのかも知れない。


さらに、同じサイトの花の写真を見てみると、雄花が先端に、雌花が葉の元の方に付くらしい。雄花と雌花のどちらが早く咲くのだろうか? これは実物を眺めてみると、どうも根元の雌花の方から咲くようだ。ミカンのような実が出来た後に、先端の方に雄花が着くらしい(実は、裸眼ではとても小さな雄花と雌花が区別がつかない)。雄性先熟・雌性先熟というのは、植物でどのように決まっているのかよく知らないが、自家受粉にならないようにする意味はあるのだろう。それに、根元の雌花の方に主要な栄養をまわして、残りの栄養で雄花をつくることもあるのだろうか。

また、どのようにして受粉をするのだろうかと考えて検索をしてみたら、この植物と送粉者のハナホソガとの関係は、第一線の学者の研究が一流の海外雑誌に載ったと新聞で報道されるほどに、非常にホットなテーマであるらしい。

それならば、夜になって葉を閉じるのは、蛾に来てもらい易くするためなのでは? と思ったりもしたが、これはまあ想像の域を出ない話で。

ついでに、学名は、Phyllanthus urinaria というらしい。属名は葉っぱに付く花ということだろう。種小名は、どうも尿道のことを意味するらしいのだが、どこを指しているのだろうか? 葉の裏にぶら下がっている実が、なにかに似ているのだろうか。

そんなこんなで、食卓に生けた草から、実にいろいろなことを考えさせてもらった。