「生物の樹・科学の樹」の感想

系統樹思考の世界」の著者でもある三中さんが書かれている「生物の樹・科学の樹」という記事を、隣町の図書館でやっとコピーすることが出来たので、今週になって通読した。
講談社『本』連載記事〈生物の樹・科学の樹〉

ほとんど同じ時代を生きて来て、同じようなことを考えて来たのだと思うと、強い感慨があった。もちろん、『本』連載記事のサイトに載せられている参考文献の一割すらも、私は読んでいないから、知識の幅は比べるべくもないのだけれど…。私が断片的に知っている事柄についてみても、まとめ方や扱い方は見事なもので、これをきっかけに勉強し直そうと思うことも多かった。

このブログに書いていることに、重なることも多かったが、これまで三中さんの紹介する本や論文などを読んできたことからして、それも当然のことだろう。前もって読んでいれば、もっと引用や対比をしながら書けたこともあっただろう。もちろん、いろいろ微妙に意見の違うところもあるけれど、それは追々と書いて行きたい。

例えば、連載3回目で「日本最低の山と日本最短の川」というテーマが書かれていることは、私が「ぶつぶつ川のこと」を書いてから気がついたのだが、見事に同じようなことが書かれていて、うれしくなった。もちろん、私は、そこに山や川があることに興味があるのであって、「連続なつらなり」からいかにして「離散的な群」を切り出すのかについては、こだわりはない。凹凸の程度が「連続的」なのなら、そういうものとして受け取ればよいと思っている。また、「山とは何か」、「川とは何か」、そして「種とは何か」と問うときに、本質主義的な定義には興味はないが、個物(individual)としての意味には興味がある。個別の山や川や種について、始まりや終わりや、その途中のプロセスについて考えることは、意義のあることだろう。日本最低の山である天保山のことで記述してあることも、まさにそういうことではないか。


「まとまり日記」というブログに書かれている「三中信宏「生物の樹・科学の樹」感想」という記事は、以前に読んでいたのだが、三中さんの記事を読んだ後で改めて読み返してみると、非常に参考になった。三中さんの文章について抱く感情は、まったくその通りだと思うし、感想の書き方についても、同感である。