ぶつぶつ川のこと

先月末頃に、「ぶつぶつ川」という川が日本で一番短い二級河川だということが話題になっていた。実は、数年前にこの川を見に行ったことがある。そのときには、今ほど有名ではなかったのか、少し離れた郵便局で訊いたものの、何人かに尋ねまわって初めて場所を教えてもらった。このようなニュースが報じられた後なので、今なら地元の人たちの誰もが知っていることだろう。

このようなことで日本一だと称してみても、どうせ次にまた同じことを考える人がいて、すぐにも記録が破られそうな気もするが、この機会にぶつぶつ川をまさに自分たちの「川」として意識することは悪くはないと思う。

この夏以来、「海」や「地球」のことをきっかけにして、歴史的存在について考えて来た。当然、ぶつぶつ川も歴史的存在だろう。今は粉白川という川の支流として、13.5メートルの長さしかないが、その歴史的な経過の中で、他の水系とつながったり離れたり、長くなったり短くなったりしながら存在して来たものだろう。

先に触れたタイプとトークンの区別でいうなら、個別の川はトークンであり、川一般の定義がタイプだろう。ぶつぶつ川自体が実在することには誰も異存はないだろうが、川一般となると、あまりにもいろいろな川がありすぎて、“定義”できないとなるかも知れない。川なんてものは、人間の認知心理の産物だという人もいるかも知れない。

実際、典型的な川らしい川として誰にも異存のないものもあれば、ほとんど水も流れていないものもあったり、用水路や庭に水を流せば川と呼ぶのか、と異論を唱えることもできるだろう。二級河川というのは人間が定めたものだから、ぶつぶつ川は、そのことを逆手に取ったともいえるだろう。

ぶつぶつ川のことは、Wikipedia にも項目として挙がっている。ブルドーザーでもあっという間に潰せそうな川ではあるが、今後も地元の人たちから大切にされて存在し続けることだろう。