ダーウィン展

先の週末(8月17日)に大阪自然史博物館でやっているダーウィン展に行って来た。

なによりも驚いたことは、入場者数の多さだった。9時30分の開場前に行ったのだが、その時点で入場待ちの人が何十人かはいて、さらに入り口のところには、行列用にコーンの通路が設営されていたりした。どれだけ混むのかと心配になったりしたが、実際入場してみると、会場が狭いことでさらに混雑感が加わって、また展示物に細かいものが多いので、それを覗き込んだり、説明を読んだりしていると、人波の中をかき分けて動いているような感じだった。それでも後から考えれば、開場後にはそれほど人が増えたわけでもないから、こういう大がかりな特別展にしてはまあ普通に観覧できたということかも知れない。

それから、親子連れや高校生など、若い人も多かった。ワークシートやスタンプラリーのようなものもやっているようだった。また、父親が子供に向かって説明している家族がいくつもいるのにもびっくりした。ダーウィンの学問も、ダーウィンの人生も、決してわかり易いものとは思わないのだが、それぞれの人なりに理解されているということなのだろう。

展示の趣旨としては、ダーウィンという人物の人生に焦点を当てた展示だったのだろうが、当然のことながら、ダーウィンがどのように進化論を生み出したかということが中心になって、進化論以外での彼の業績については、あまり深くは触れていないようだった。

全般にレプリカや複製や、類似のもので代替していることも多かったが、それでも少しは本物もあったし、ダウンハウスのダーウィンの部屋の復元などは、彼の研究していた状況を想像して、隅々まで見入ってしまった。一方、ガラパゴスジオラマなどは、イグアナやらカニなどの縮小スケールがバラバラなのか、奇妙な感じだった。

ノートや手紙なども複製が多かったが、ダーウィンの直筆ということで、なんとか読もうとしてみたりした。でも、ペン書のものを読むのはなかなか大変で、説明板に翻訳された部分を探し出すことも、ままならなかった。

元々の展示は、ニューヨークであったそうなのだが、日本なりの独自の展示も加えられていた。進化理論の解説やら、日本との関わりなどが、加えられたものなのだろうが、これもまたダーウィンの人物像に迫るという本来の趣旨をぼかすことになっていたかもしれない。それから、この特別展の展示解説書は、元々のニューヨークでの解説書を翻訳したのか、展示していたものと一致していない。この展覧会の企画委員の文章は著者名が明示されているのだが、その他の文責が誰なのか、よくわからない。

解説書のミスで目に付いたのは、Punctuated Eqilibium ( → Equilibrium)は、ちょっとヒドイかも(この項目は、展示の説明文でも、学名の読み方がデタラメだった)。また、「Quirkiness すばやい進化」は意図的なのか、それに「Neighbering 近隣種」という訳語は初めて聞いた。

時間の制約があって、昼前までしか見ることが出来なかったので、最後のあたりは端折って見たが、いずれにしても、ダーウィンに関してこのようなまとまった展示は、これまでに見たことがなかったので、大満足の半日だった。