大阪ミュージアム構想

橋下知事がやることなすことなんでも反論を述べたくなるのだが、大阪ミュージアム構想で、大阪府全体を博物館と見立てることは、悪くはないと思う。ただし、ライトアップすることではなくて、多くの名所の価値を再認識することである。

新聞で挙がっていたのは、御堂筋に、大阪市中之島周辺の近代建築物、富田林市の寺内町岸和田城周辺、百舌鳥・古市古墳群などであったが、このようなところを取り上げるのなら、もっと他にもということになるはずである。

私に縁のあった泉南地方で考えるなら、阪南市の尾崎周辺から鳥取にかけての街並や、泉南市の信達の街道筋、泉佐野の町家、貝塚寺内町など、いくつもの古い伝統的な街並が残っている。それに、この地方には、「だんじり」に「やぐら」に「布団太鼓」などの活発な祭りもある。

これらのところをライトアップするのではなく、橋下知事が現地を実際に訪れて、そのすばらしさを紹介するだけで、どれだけの宣伝効果があるかわからないだろう。こういうのを「汗をかく」というのではないのか?

このような場所は、前に紹介した「堺泉州の隠れた名所」にも書いてあるし、各自治体などが作成しているパンフレットなどもあるだろう。例えば、「阪南宝ブック」などはよく出来ている。また、先日述べた「泉州ミュージアム・ネットワークガイド」というのもある。このような例は、泉州だけでなく、大阪府内のあらゆるところにあるだろう。

要は、府が上から押し付けるのではなく、元々あった動きを援助することである。府内にある宝物を、掘り起こすことである。

大阪府のプロジェクトチームが「現地性と言うのであれば、遺跡や古墳のあるところにはすべて博物館がいるということになる。」などというバカなことを言っていたが、そういう奴らは、まずは現地へ行って、それぞれの遺跡や文化財や、あるいは豊かな自然を眺めてみるべきだ。そうすれば、それらの重要性も理解できるだろう。そして、保存や継承や教育のために、博物館やなんらかの施設が必要なことがわかるだろう。それを、机上の空論で博物館を作るから、あのようなバカげた府立博物館になるのである。

前にも書いたが、知事ご一行様ということで、大阪府各地を視察しているが、なにかを見て感動したということがほとんど伝わってこない。自分が見て感動しなければ、大阪府全体を博物館とするなどと言っても、他人には薦められないだろう。

大阪府には、すばらしいところがいっぱいある。それを一番知らないのが、知事とプロジェクトチームのメンバーではないか。自分の目が節穴だからライトアップでもするというのだろうか。