泉州ミュージアム・ネットワークガイド

先日、和歌山県立博物館に行ったときに、「泉州ミュージアム・ネットワークガイド」が新しくなっていたのをもらってきた。以前のパンフレットのときには39施設の収録だったものが、今回は48施設に増えている(泉州ニュース -泉州ドットコム- 泉州ミュージアム・ネットワークガイド 48施設収録 6年ぶり刷新)。


前のパンフレットのことを絶賛した(泉州ミュージアムネットワーク - ebikusuの博物誌)ことからすれば、このようなネットワークの継続と発展を喜ぶべきなのだろうが、いくつか気になることもある。


例えば、新しく加入した施設の中には、新設されたものもあるが、企業の宣伝スペースであったり、駅舎であったり、“展示”と呼べるようなものが少しでもあれば、なんでもかんでも組み入れたような感じがする。「博物館とは?」などというややこしいことは問わずに、とにかく数を増やして、水ぶくれにした感じがしないでもない。

それに、ネットワークのホームページも、昨年の夏以降、更新されていないようだ。このホームページ自体「ホウユウ株式会社」のサイトに間借りしているようであるから、協賛の企業に全面的に依存していたのかも知れない。

そして、パンフレットの裏に、「ネットワークを応援します」と書いている組織が、堺市ロータリークラブから、泉大津港湾振興会に代わっている。おそらくこれらの組織が、パンフレットの印刷代や事業のために資金を提供してくれるから、ネットワークは成り立っているのだろう。

このあたりのことを勝手に想像をめぐらせると、ネットワークを主導している人が、その人の力量でお金を引っぱってきて、あらゆる博物館や組織を、ネットワークに組み込んでいったということだろう。そして、その主導している人は、「大阪府立博物館の責任者? 」- ebikusuの博物誌で書いた人になるのだろう。「泉大津港湾振興会」という組織自体、ネットで検索してみてもよくわからない組織ではあるが、大阪府の関連組織でもあるようだから、上の主導している人とも関係があるのだろう。


大阪府立の博物館が大変な状況にあることや、ネットワークの発展を願っていることからすれば、あまり水を差すようなことを言いたくはないのだが、ネットワークとしては今後も3年間スタンプラリーを続けるらしい。他に事業の展開のアイデアもないから、今までどおりのことを続けているように感じられる。個々の博物館からアイデアボトムアップする仕組みや、個々の博物館相互の交流や扶助になるようなことを考えるべきときに来ているのではないか。ネットワークを誰かが提唱して、補助金がついているからそこにぶら下がって、補助金がなくなったら解散ということでは、ネットワークがお仕着せのものでしかなかったということになりかねないだろう。

ネットワークに参加している館の中では、組織としては一番大きい弥生博物館が存亡の危機に立っている。大阪府立の博物館があぶないということは、次は市町村の博物館にもそのような災難が降ってくるかも知れない。ネットワークとして、博物館の大切さを訴える役割をもっと果たすべきではないか。