滋賀県の博物館行政

先に書いた「大阪府立博物館と橋下知事」という記事にいただいたコメントに、滋賀県琵琶湖文化館の休館のことがあったので、滋賀県の博物館のことについて、少しネットで調べてみた。よく事情がわからないところもあるのだが、今の時点で思っていることをメモ程度に書き残しておきたい。

滋賀県の博物館に対する動きは、橋下知事の博物館に対する動きを最初に知った「ミュージアムの小径」というサイトで、びわこホールのこと琵琶湖文化館の休館の話を知った。

この問題についてよくわからないことは、嘉田知事の真意である。おおよそこれまで文化とは縁がなかったと思える橋下知事に比べて、嘉田知事は、琵琶湖博物館に勤めていたのだから、博物館の事情には精通しており、文化に対する良き理解者であると思っていた。

だから、びわこホールのときには、自民党の県会議員が、福祉か文化かというような無茶な二者択一を迫ることが問題なのであって、知事の本心は、可能な限り文化を守って行きたいのではないかと想像していた。

琵琶湖文化館については、2年ほど前に見に行ったことがあるのだが、琵琶湖博物館の巨大さに比べたら、なんとなく古びて忘れ去られた施設のような感じがした。それで、新たにスクラップアンドビルドでも考えているのかと思っていた。いくらなんでも、豊かな歴史と多数の文化財を持った滋賀県に、歴史博物館が必要ないわけがないだろうから。

実際のところ、琵琶湖博物館ができるときに、水族館の部門は琵琶湖文化館から移ったわけだから、どうして歴史の部門を琵琶湖博物館に移さなかったのかとは思うが、それなりの事情や考えがあったのだろう。琵琶湖湖畔に建つあの建物自体、ある種のシンボルにもなっているだろうから、博物館として存続しないとしても、まだまだいろいろな議論が起こることだろう。

そんなことを、現場の博物館の声も受け止めながら納得づくで進めているのかと思っていたら、必ずしもそうでもないらしい。「琵琶湖文化館に休館の危機が!!」というサイトを見ると、いろいろ異論もあるようだ。

また、こちらのサイトの「福祉と文化を秤にかけりゃ福祉が重たい地方行政」という記事を見ると、議会の側が一方的に文化に対する予算にクレームをつけているのではなく、知事の側でも率先して削っている側面もあるようだ。それというのも、地方交付税の減少などで予算が逼迫してきて、結局、ない袖は振れないということらしい。

お金がない破産状態だというのは、橋下知事がなにかをごり押しするときの常套句である。しかし、なにを残して、なにを廃止するかを決めるのは、知事の独断ではないはずだ。嘉田知事も、お金がないからと、文化行政をズルズルと後退させるだけでは、結果的には橋下知事と同じことになるだろう。嘉田知事が、実際に県民に対してどのように説明をしているのかよく知らないので、今の時点では嘉田知事に対する評価を保留するが、今後も注目していきたいと思っている。