サンゴのカレンダー

今年は、国際サンゴ礁年(International Year Of the Reef: IYOR)ということらしい。それで、毎年もらっている堀場製作所のカレンダーが、サンゴの図案になっている。この堀場のカレンダー、各日付ごとに、きれいな写真や絵に加えて、学名までついているので、それを見ながら、いろいろなことを考えたいと思うのだが、置く場所に困って、いつも最後はメモ用紙になってしまっている。もったいない!

今年の分を、ざっと目を通してみると、その掲載種の取捨選択が、なかなかおもしろい。日本周辺の造礁性サンゴとソフトコーラルを載せたというのだが、この両者でのアンバランスが際立っている(以下に、分類群の名前がいっぱい出てきますが、先の和歌山県立自然博物館のところでとりあげたような分類表でも参照しながら見てください)。

造礁性サンゴでは、イシサンゴの仲間(六放サンゴ)のうち、造礁性のものに限定しているので、日の当たらないところにいるキサンゴや深海のサンゴなどは載せられていない。一方、ソフトコーラルということでは、八放サンゴの主要な分類群(ヤギやウミトサカやウミエラやウミサボテンやアオサンゴなど)が網羅されている。それで、八放サンゴとの対比のためか、ネジレカラマツ(六放サンゴ亜綱・ツノサンゴ目)やら、アナサンゴモドキ(ヒドロ虫綱)なども載っている。いずれにしても、サンゴ礁を代表するような“さんご”を、一年分で表紙を含めて 370種余りを選んだのだろう。

「サンゴ」と「珊瑚」と「さんご」で、それぞれ意味合いが違うということを、山里清の「サンゴの生物学」という本で読んだことがある。実際のところ、そのような意味を理解して、きっちりと区別して使う自信はないし、世間の人もそのように使っているとは思えない。言葉遣いをガチガチのものにする必要はないとは思うが、どのようなサンゴ(分類群)を指しているかは、明確に述べるべきだろう。そのためには、刺胞動物の分類を多くの人に理解してもらわなければならない。エビはエビでも、多くの分類群に含まれるエビがあるし、貝の中にもいろんな貝があるように。


今やサンゴは非常に注目される生物となっている。このような機会に、サンゴの認識が深まることと、サンゴに関わる自然が大切にされることを願っている。