きしわだ自然資料館

標本について考えていて、きしわだ自然資料館の3階の剥製の展示を思い出した。見に行ったのが数年前なのだが、今でも続いているのだろうか。

ここの剥製は、あるコレクターが集めたものを、市が引き受けたらしい。剥製の寄贈を受けるに当たって、いろいろな経緯があったらしいのだが、学芸員にとっては、どのような趣旨で展示をするか、いかにも悩ましいものだろう。

おそらく学術標本として必要な情報(産地や採集年月・場所など)が欠けていることもあるのだろうが、なによりも、猛獣がいかにも恐ろしい形相に表現されていたり、過剰な演出がされていたりして、その動物の姿としては一面的に過ぎるのだろう。辛うじて、稀少な種類が含まれていることや、ワシントン条約などを強調することによって、学術標本としての価値を見い出しているのだろうか。

他の階が岸和田の自然に密着した展示がなされているだけに、あの3階の特異さは際立っている。インターネットでも、B級スポットなどと揶揄されてもいるようだ。なにか、あの部分がアンタッチャブルなのかと思えてくる。寄贈者の好意を生かすにしても、展示全体のバランスからすれば、あんなにスペースをとる必要もないだろう。学芸員の自主性に任せるべきものだろう。