岡中の楠

自然居士の大イチョウを書いたついでに、すぐ近くの泉南市の「岡中の楠」にも触れてみたい。この木も、一度見分けることができれば、阪和道の泉南インターチェンジへ向かう道路からも簡単に認識することができる。私が訪れたのは、2006年の7月だった。

ここの岡中鎮守社は、明治時代終わり頃の神社合祀令(和歌山県では南方熊楠が大反対をした)によって、信達神社に合祀されたとのことであるが、この楠と、すぐとなりにある槙の木だけが残ったそうである。説明板によれば、楠の樹齢は500年とも800年とも書かれている。槙の木は、成長が遅いので、楠よりも小さいが、樹齢は楠よりも古いらしい。付近には500年以上前のお寺の遺跡も見つかっているらしい。神社の前には、古いお墓もあったりして、やはりこの楠の周辺は、昔から特別な場所だったのだろう。


地元の岡中地区が掲げている説明板の文章がすばらしいので、その文章の最後の部分を掲げたい。

 樹令五百年以上の樟の木は いずれにしても神社または寺の境内に植えられたものであり祖先からのすばらしい送り物である 地中にどっしりと根をおろし大空に高くそびえて限りなく成長しつづける姿は岡中のシンボルである

 月に人類の足跡を残すような優れた技術によっても 今樹令五百年の樟の木をつくることはできない 岡中の歴史をみつめ歩んできた宝の樟の木を大切に守り後世に伝えたい

私が古い木に寄せる思いは、この文章ですべて語られている。