南方熊楠の「十二支考」

十二支について、南方熊楠が書いていたことを思い出した。たまたま、岩波文庫のものを持っていたので、そのイノシシに関する章「猪に関する民俗と伝説」をざっと目を通してみた。


初めのところに、今村鞆*1の「朝鮮風俗集」を引用している。

亥は日本ではイノシシであるが、支那でも朝鮮でも猪の字は豕の事で、イノシシは山猪と書かねば通用しない。すなわち朝鮮では、今年はブタの年である。ブタの年などというと余りありがたくないが、朝鮮ではブタは日本人よりよほど敬意を表して居る。この日(正月初めの亥の日)商売初めて市を開く云々

「今年はブタ年」などということは、はるか以前から言われていたことになる。その他の記述も、さすが熊楠で、古今東西の情報を織り込みながら、まさに博覧強記である。一瞥しただけでは、知らないことだらけで、とてもとても理解できるものではないが、今後読み込んで、どこかで食いついて、敷衍できるところがあれば、また書きたい。

*1:彼と南方熊楠の関係については、「南方熊楠と朝鮮 ―今村鞆との関係から―」という記事があった。