小匠ダム

小匠ダムについては、ダム好きさんによる【小匠防災ダム / こだくみぼうさいだむ(和歌山県)】のページに概略と写真が載っている。

なお、ダム好きさんは、脱ダム宣言に対しては、かなり批判的のようで、別のページでは、

すでに日本各地に水をためない治水ダムが存在しています。たとえば、大代川ダム、大倉川ダム、小匠ダムなどは、普通にダムとして取り扱われています。これらは普段はまったく水をためず、流れてきた水はスルー、小匠ダムは魚道付きなので水棲生物が行き来することも可能です。洪水が起きたときだけゲート操作で洪水を調整する立派なダムです。脱ダム代替案の「えん堤」はこれらのダムとどういう違いがあるんでしょうか、いくつかの報道記事を読む限り、限りなくこれらのダムと同じもののような感じがするんですが・・・

穴あきダムについても、ダムであることに変わりないことを認めている。たしかに、小匠ダムについても、1959年に竣工とかなり古いものであるが、山奥に突如として出現する巨大な建築物であり、このようなコンクリートの塊を、どのように見るかは人によって意見が分かれるだろう。


また、小匠ダムのページの No. 14, 16 の写真からわかるように、放流口から流れ出る水の色やダム直下に溜まっている水は必ずしもきれいなものではない。それに魚道も どれくらい魚道として機能いるのかは、不明である。


なお、小匠川を管轄する大田川漁協のアユ釣りの情報では、
「アユ  6/1から12/31まで、ただし小匠ダム上流7月第1日曜日午前6時から」
となっており、「ダム上流道悪く狭いため危険」とわざわざ書いてあるような場所に、放流している感じではないので、たぶん海からアユは遡上しているのであろう。


ダム湖についても No. 25, 30 の写真のように、池のようになっていて、あまり水はきれいではない。とくに30 の写真では、流木や泥などが溜まっているのが見てとれるだろう。通常のダム湖のように水は溜まってはいないが、水が少ないだけで、ダム湖内にいろいろなものが溜まっていく弊害は、穴あきダムであっても変わらないと思われる。


次に、私自身が見た経験である。ダム湖の少し上流に下りてみて驚いたのは、河原に枯葉が大量に堆積し、河原の砂が真っ黒なことである。それに流木も溜まっていて、周りが山に囲まれた上流部の風景であるにもかかわらず、なんとも荒涼とした風景であった。


このようになる原因は、洪水時に、ダム湖に水が溜まったとき、一気に流してしまわずに、ゆっくりと水を流すからであろう。通常時は、川と違いがないとはいうものの、ダム湖に水が溜まった後に、有機物や泥が堆積することでは、通常のダム湖となんら変わらないのだろう。


以上、ダムの直下・直上とも、とても自然状態であるとは言えず、ダムがある範囲内で環境に悪い影響を及ぼしていることは間違いない。特に、もしダムがなかったとしたら、この周辺は、渓流としてすばらしい自然が残った場所であっただろう。


このダムの機能については、実際にダムに水が溜まったときの状況を見たことがないので、よくわからないが、和歌山県でももっとも多雨地帯を背後に持つことからして、洪水調節機能として、必要性があったのだろう。また、治水機能に限定したのは、おそらく発電のために標高差を稼げるような建設場所が付近になかったのだろう。


このダムは、建設後、50年近くになろうとしている。となりの古座川の七川ダムも、ちょうど同じ頃に建設されたが、このダムでも、水質に及ぼす影響が問題となっている。


通常のダムに比べれば、穴あきダムの方が、環境に対する負荷は少ないのかも知れない。しかし、環境に影響を与えることでは変わりはない。穴あきダムを、環境への配慮の免罪符とするのではなく、いろいろな条件を考えるべきではないか。


地元の人にとって、小匠ダムがあることによって、どのように感じておられるのだろうか? 例えば、漁協の人にとって、アユに対する影響はどうなのか。あるいは、濁りや水質についてどうなのか、実際に日々見聞きされている経験談があれば、お聞かせください。