「穴あきダム」について


長野県が浅川ダムを「穴あきダム」とすることを発表した。
長野県知事の脱「脱ダム」、各地の論争に影響も
穴あきダムは、環境への負荷が少ないということらしい。記事によれば、穴あきダムで、国内で唯一完成しているのは益田川ダム(島根県)ということである。


実は、和歌山県にも、穴あきダムとして「小匠ダム」が存在する。
これについては、次項でとりあげる。そのことによって、穴あきダムは、環境に“優しくない”ことを示したい。


田中前長野県知事の脱ダム宣言については、いろいろ議論もあっただろうが、今回の新聞記事でとりあげられているダム推進派の議論や情報は、かなり偏っていると思われる。


私としては、絶対にダムは作るべきでないとは思わない。そこに住む人たちの生命と安全を守るためと言われると、反論のしようがない。しかし、ダムの利害得失を判断するための情報が充分に与えられているとは思えない。実際に完成したいくつものダムを訪れて、すさまじい環境破壊を目の当たりにし、失われたものの大きさを感じるときに、ダムを作る前に、どれだけのことを考慮したのか、と思うだけである。


今回の「穴あきダム」の案が出てきた経緯を考えてみると、田中前知事の脱ダム宣言があったから、環境を考慮しようということになったのだろう。もし、脱ダム宣言がなければ、普通のダムが作られていたことだろう。


建設省などの行政当局が、環境を考慮するようになったという点では、評価したい。しかし、穴あきダムにしても、環境に負荷がないわけではない。完全に治水目的に限定するのなら、ダム以外の方策も考えられるだろう。


「穴あきダム」が話題になったことをきっかけに、ダムのことを考えてみたい。