太陽光発電の不公平さへの補足

前回は、太陽光発電の売電料金について、不平等・不公平について述べた。太陽光発電を設置できる人と出来ない人、家庭の小規模発電と企業の大規模発電とで、何重もの不平等になっている。もちろん、あらゆることが平等でなければならないとは思っていない。しかし、恩恵を受ける人は平等ではないのに、電気料金としては平等に上乗せ分を課することは問題だろう。

今回は、前回の不平等に加えて、目につきにくい不平等について述べる。

売電料金は、あくまでも余った電力を売った場合にのみ得られる。自家消費した発電分は、通常の電気料金の支払いが減ることで貢献するだけである。通常料金よりも上乗せされた売電料金を受け取るためには、昼間の電力使用を少なくしなければならない。全体の発電量に対して、自家消費する割合が増えるにつれて、発電した分の平均的な売電単価はそれだけ低下することになる。この点で我が家は、昼間はほとんど電気を使わないし、南側の屋根一杯に乗せられるだけ乗せたので、発電に対する自家消費の割合は、1割程度になっている。真夏にエアコンを使う家などでは、おそらく半分以上を占めるのではないだろうか。

前回述べたように、私は上乗せ分を寄付することにして、受け取らないようにしたいと思っているが、42円という金額を期待していた人には、期待ハズレということにもなるだろう。

太陽電池の効率は、家の条件によって左右される。何キロワットの電池を設置したからといっても、その容量一杯に発電してくれるわけではない。我が家の場合、屋根の勾配が急であることと、周囲を取り囲んでいる家が高くて、冬の間の日照時間が短くなって、効率が落ちるようだ。このような効率が低下する条件は、屋根の向きから、その地域の日照時間まで、家によって様々なものがあることだろう。販売に当たって、大雑把なシュミレーションをしてくれるが、このような条件は、実際に設置してみないと実感できないものだろう。

さらに、補助金についても、国からの補助金は一律だとしても、地方の補助金は、住んでいる所によって違っている。私の住んでいる県では補助金の予定数が終わっていて、住んでいる町には補助金がなかった。

そんなわけで、最適の条件から順番に引き算をやっていって、小規模で無理をして設置しているところほど、効率が悪いことになる。逆に好条件なのは、大規模で場所を選べる企業だろう。補助金や一律の賦課金は、不利な条件を均等にするために配分されるのなら意味もあろうが、家庭も企業も同じ買取価格である。しかも、企業に対しては、20年間の長期にわたって価格保証する制度になっている。これでは、一般家庭の不利な条件を隠れ蓑にして、企業が暴利を貪っているとみなされても仕方がない。売電料金を審議した委員は、このような状況を知らないはずがないので、よほどの節穴か、企業と癒着しているかのどちらかだろう。