キイジョウロウホトトギス、ホトトギス2

今年の春に、産直の店で、キイジョウロウホトトギスの株を買った。我が家の庭は日当たりが良すぎて、適当な日陰の場所が見つからないので、うまく育つかなあと思ったものだが、レッドロビンの生垣の下に、買って来た植木鉢のまま放置していたら、なんとか2個の花をつけてくれた。




(2012/10/22 撮影)

紀伊上臈ホトトギスということで、山里の貴婦人というらしい。山歩きをしているときに、崖のところにこの植物が生えているのを教えてもらったことがある。そのときには花が咲いていなかったので、なんと大げさな名前と思ったものだが、後に、別のところで、崖一面に黄色い花が咲いているのを見たときには、その植物のことを説明したくなる気持ちがよく理解できた。

最近になって、和歌山県南部の山間部の集落で、この植物を育てたり、花の時期にはイベントをしたりしている。それで、産直の店で苗が売っていることも珍しくなくなってきた。

写真に撮って、花の形をよく見てみると、なによりも花の中に赤い点の模様がついているのが目立つ。それに、おしべや柱頭なども複雑そうに重なっている。さらに、妻が言うには、花びらの根元の部分に、3個の突起が出っ張っている。



(2012/10/24 撮影)

そう思って、改めて観察して見ると、突起が出っ張っているのは、外側からかぶさって“花びら”だから、おそらくガクなのだろう。その先端には、青い突起があって、おそらくつぼみのときに覆っていた名残りだろうか。



妻によれば、このキイジョウロウホトトギスとセットで、ホトトギスが咲いているというので、こちらも写真に撮った。



(2012/10/22 撮影)

昨年ブログにホトトギスのことを掲げたことを思い出して、そのときの写真と見比べてみると、少し花の形が違うようだ。昨年写真に撮った株は、他の草の勢いに負けてしまって、今年は花をつけなかったようだ。それで、妻に尋ねてみると、今回の株は、産直の店で新たに買い足したものらしい。ホトトギスにもいろいろ品種があるようだ。


どちらの種類も、園芸植物としてみるとあまり興味を惹かれないが、本来は山野草なのだとすると、愛着も湧いてくるようだ。



(2012/11/06 追記):
ホトトギスのことを調べていると、国立科学博物館の「日本産ホトトギス」というページが見つかった。それによれば、ホトトギス属の植物は世界中で19種、日本に12種がいるらしい。我が家のホトトギスは種類の同定が曖昧ではあるが、来年、2つの型の花が咲けば、きちんと比較してみたい。

そこの学名を見ていると、キイジョウロウホトトギスの学名は、Tricyrtis macranthopsis Masamune ということらしい。

いつも学名を調べさえてもらっている「季節の花 300」のサイトでは、

Tricyrtis 「treis(三) + kyrtos(曲)」が語源で、三枚の「外花被」というところの基部が曲がっていることから来ているらしい。上で述べた花の根元の部分が出っ張っているということだろう。

種小名の方は、ジョウロウホトトギスが、 Tricyrtis macrantha Maxim.であることから、大きな花で、ジョウロウホトトギスに似たものという意味だろう。


さらに、キイジョウロウホトトギスで、Masamune という命名者が気になる。おそらく正宗だろうということで調べてみると、正宗厳敬という植物学者で、元金沢大学教授らしい。

今の岡山県備前市出身で、実兄が作家の正宗白鳥ということである。あの辺りは、備前長船ということで、日本刀の産地であるから、刀などに関係する家系なのだろうかと思ったりしたが、「正宗家は代々網元であり、高祖父の雅明の代までは材木商も営んだ財産家であった。」ということらしい。


どうでもいい名前論議ではあるが、知識がつながってくるようで、思わず書き留めておきたくなった。