パースの hypoicon

パースの用語で、アイコンに関連する用語として hypoicon (低類似記号)という単語がある。この単語自体は、検索してみてもあまり多くはヒットはしないようなのだが、それが3つに区分されることは、多くの人が触れている。つまりイメージとダイアグラムとメタファーである。前回触れたアイコンとメタファーとの対応を想定する人たちは、どうやらこのことに基づいているようだ。

ところで、アイコンとヒポイコンの関係は、どのようになっているのだろうか。私も最初のうち誤解していたのだが、アイコンの下位区分としてヒポイコンの3種を考えている人が多いようだ(例えば、松岡正剛のこのページは、パースのことを学ぶのにずいぶん参考にさせてもらっているが、そのように書いてある)。しかし、パースが言いたいことは、ヒポイコンは iconic(つまりアイコン的)ではあるが、純粋のアイコンではないということではないか。パースの定義を見ても、「類似性によって対象を示すような場合に、記号はアイコン的」となっている。

また、以前に述べたパースの十のクラスからすれば、純粋のアイコンは、qualisign (111) であるが、ヒポイコンは iconic sinsign (211) か iconic legisign (311) ということだろう。


さらに考えたいことは、イメージにしろダイアグラムにしろ、最近の認知言語学などで扱うような広い意味のメタファーからすれば、また類似性に基づく言い換えであることからしても、すべてメタファーと見なせるのではないかということである。

そうすると、前回掲げたメタファーの区分の図が、さらなる意味をもってくる。イメージ・ダイアグラム・メタファーの並び方は、一次性から三次性までを想定したものだったはずだから、先の図でのメタファーa・b・cに対応することになるだろう。


パースの単語をつまみ食いしていた状態から、だいぶつながって来た。