足摺海洋館

5月4日に、足摺海洋館を訪れた。この水族館は、四国に行く前にはまったく予定していなかったところなのだが、足摺岬に向かって南下しているときに、たまたま通りがかって、入場することになった。この周辺には、海中展望塔や海のギャラリーなどの施設があるようだし、竜串・見残しなどの海岸の景観などに見所もあるようなのだが、四国の足摺岬の先端を目指すことしか考えていなかったので、駆け足で通り抜けることになってしまった。

この水族館は、いつ開館したのかはホームページを見た限りではわからなかったのだが、最新のものでもなく、かといって古くもなく、といったところか*1。中央に2階まで吹き抜けのかなり大きな水槽があるのだが、その周りを小さな水槽が並ぶようなつくりになっているようだ。

ウミガメやマンボウなどの大きなものも飼ってはいるが、最近の都会の水族館のように、ものすごくびっくりするような生物やらイルカやラッコのような海獣やらを飼っている訳ではないから、ごくオーソドックスに足摺の海の生物を展示することを目指しているものと思われる。

この辺りの海は、四国の西南端で、黒潮が直接ぶつかるところだろうから、生物の多様性が高いところに違いない。そのような生物を紹介する窓口として、この水族館はふさわしいものだろう。

ただ、水槽の数も多くないので、展示できる動物の種類も限られているのかもしれない。例えば、もっと多くの無脊椎動物を展示するべきだろう。また、高知県立ということだから、適宜にリニューアルなどをやるのも難しいのか、どこか古ぼけた感じがしないでもない。上の写真のサンゴの色付けなどは、まさに手作りの応急処置みたいなものだろうか。

そんな中で、特別展として「春のウミウシ」というコーナーはなかなか力が入っていた。飼育係だかボランティアだかのお姉さんが、横について、説明してくれていた。“ピカチュウウミウシ”のような小さなものは、直接指し示されなければ、まずは見つけられないだろう。30種類程度を集めたこともすごいし、後鰓類のいろいろなグループについての説明も充実していた。


帰って来てから、インターネットで確認をしてみると、すぐ近くの「海のギャラリー」は、入場者数が減って、存続の危機に直面したこともあったらしい。この水族館についても、入場者数の推移はよく知らないが、特に新奇な展示もない状況では、増加傾向にあるとはとても思えなかった。

私たちが行ったときは、ゴールデンウィーク中だったこともあって、人であふれかえっていた。高速道路が1000円になることで、今後も観光客の流れが、足摺方面に向かうかも知れない。そんなときに、足摺の生物の素晴らしさを見せる場所として、がんばって行ってもらいたいと思う。


(09/05/16 追記)この地域のことをいろいろ調べてみると、四国の中でも交通の不便なところで、観光客を呼び込むのにも大変らしい。それでも、現地でもらった「きらめく、ハタめく」というこのパンフレット(PDF)に書いてある「「何もない」があります。」という言葉には感動した。また、このページ(竜串自然再生プロジェクト)には、竜串の自然を考えている人たちが、いろいろ考え、議論した多くの資料が公開されている。四国の端っことしての足摺岬に行くことしか考えていなかった今回の旅ではあるが、次は、この地域の自然を楽しむために、訪れてみたいと思う。

*1:いろいろ検索してみると、1975年のオープンだから、35年になろうとしている