水族館は博物館

水族館を博物館と類別することに、どのように思われるだろうか。水族館の中には、博物館相当施設だと威張っている?ところもあるが、博物館相当施設というのは、単に文科省が法律かなにかで指定しているだけのことである。むしろ、生物を展示するからこそ、自然史博物館(natural history museum)なのである。


先にレプリカに触れた文章で、博物館は本物を展示するところだと述べた。水族館の人々がどれくらい自覚的なのかは知らないが、生物を本物として見せるためには、自然史の知識が必要となる。例えば、どのような生物なのか名前を付ける(同定する)ためには、その生物に対する分類学的な知識が必要となるだろう。永続的に飼育するためには、その生物の習性や生態学的な知識が欠かせない。


この対極が、一時期(今も?)流行ったバーチャル水族館だろう。プログラムや映像などで、実際の生き物よりもきれいで、手間もかからないなどとうたっていた。こんなものは、所詮はニセモノで、すぐに飽きるだろうと思っていたのだが、実際の水族館にも展示してあったりしてびっくりしたことがある。


バーチャルというのは、ほとんど本物に近いけれど、実はニセモノという意味である。バーチャルもレプリカも、本物の限られた情報しか再現しない。本物は、見るたびに新しい情報を与えてくれる。